「ピッチ442で調律」等と良く聞きますが、これは基準となるA音(ハ長調のラ)の周波数を表します。
しかし調律は、ただ単に決まった周波数に調整するだけでなく、音が溶け合って響くよう微妙な調整(ズレ)があるのです。
これが調律師の腕の見せ所です。
A音とは時報に使われている「ポ・ポ・ポ・ポ〜ン」の音で、基準では440Hz(1秒に440回の振動)となっていますが、実際の演奏では442Hzやそれ以上、またはそれ以下と演奏者によって違います。
だからコンサートでピアノを使う場合は、必ず事前に演奏家に確認し、調律師に伝えなければなりません。
さてA音440Hzの場合、標準的には1音上のBは493.9Hz、下のGは392Hzですが(平均律)、これではきれいな音に聞こえません。
人間は、高い音は基準より高め、低い音は基準より低めの方が気持ちよく聞こえる習性があります。また、ド・ミ・ソの和音では、ミは基準より低くした方がきれいに聞こえます(純正調)。
弦楽器や管楽器では、演奏者自身がこのような調整を随時行い良い響きを作りますが、ピアノは弦が固定されているのでそうは行きません。
そこで調律師が経験と勘で、その日のベストの調整をするのです。
ところでピアノは鍵盤が88鍵ありますが、1鍵に弦は1〜3本あり全体で200本以上。これを合わせるだけでも大変です。
他にも、鍵盤を押した時、どの深さで音が出るか。弦を叩くハンマーの固さ等、ピアニストの好みに合わせて調整するのです。
大変ですよね。どうぞ調律の時は、回りを静かにしてあげましょう。
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