そして2002年、今度は西高校吹奏楽局の卒業生を中心に市民吹奏楽団設立の機運が高まって「ふかがわ吹奏楽団」が結成され、自主コンサートも開催するなど積極的な活動を展開しました。楽器の確保は以前の顧問の先生の協力もあり、個人持ちできないメンバーは借用できました。ただし打楽器は演奏会時にはやはり地元の学校の協力を受けなければなりません。
 なお、指導・指揮者は学生時代に市民音楽祭に出演しその後教員になった方もいましたし、メンバーにも市民音楽祭経験者が多くいました。結成の年に最初の定期演奏会を生きがい文化センターで開催し、3回目からは「み・らい」で開催しています。ただ、こちらも5年程でメンバーが減少し自然消滅してしまいます。しかし、その中の一部メンバーは小編成の団体として「雑奏団きらら」を結成し、総合芸術祭への出演を中心に地道な活動を行っています。
 ここまでは、市民音楽祭から何らかの影響を受けた流れがなされてきましたが、その後は別なものになります。学校中心の交歓演奏会は社会人との関わりを遮断してしまいましたし、新ホール運営団体で行われる吹奏楽関連事業でも過去の経緯が振り返られることはありませんでした。
 2008年には西高校吹奏楽局の新たな卒業生により小編成のアグロメレが結成され活動を続けています。また2010年には新ホール運営団体が呼びかけBigBandGenexが結成され活動していましたが、2014年には幾つかの団体に分かれて行きました。そして昨年新たに「深川市民吹奏楽団」の結成です。この度5月に初めての自主演奏会を開催しましたが、すでに様々な地域イベントでも活動しているようです。学校卒業後、地元に残る若者は少なく、メンバーを確保する事は大変でしょう。学校を卒業しても楽器を続けたい、楽器が懐かしいという気持ちは強くても、様々な要因からそれを継続し続けるのは中々難しいものです。でも地元で楽器を続けている人たちの存在は学生たちにとっても、良い影響があるはずです。そういう意味では、この度の市民吹奏楽団の演奏会で少人数のメンバーしかいない東高に呼びかけて共演したことはとても良い取り組みだと思います。新たな時代の始まりかもしれません。無理せず、音楽が好きという気持ちを大切に、その時その時にできる範囲のことを楽しみ、息の長い活動を続けてもらえればと思います。